いまさら『ゲーム・オブ・スローンズ』にドハマりした話。~視聴前の予習は必須? 作品の魅力を、さわりだけ紹介~
※当記事は、HBOドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』についての記事となります。シナリオの根幹に触れない程度のネタバレを含みますので、ご注意ください。未視聴の方は予習に、視聴済みの方は復習にどうぞ。
留学仲間と話していて、『面白い海外ドラマ』の話題にのぼるTOP3。
ひとつは『ウォーキング・デッド』。
ひとつは『ブレイキング・バッド』。
そして、もうひとつが『ゲーム・オブ・スローンズ』でした。
筆者(cansuke)は、これまで碌に海外ドラマを見た経験がありません。
MARVEL映画にハマった頃に、関連作品をTSU○AYAでレンタルして、1~2クール視聴するのが精々といったところ。
『この海外ドラマがアツい!』みたいな話を耳にするたびに、いつかは見よう見ようと思いつつも、食指は伸びず。レンタルはいちいち足を運んだり、期限を気にするのが面倒だし……そもそも、「面白い」といわれる作品に限って長編で、見る時間が取れないし……
・・・などと敬遠していたのですが。
天下のAmazonさんが提供している動画視聴サービス「Prime Video」なら、Amazonプライム会員(月額 ¥400)は、会員特典で一部作品の視聴が無料という事実を知ってしまい、
「こりゃあ使わない手はないぜ!」
と意気込んで、視聴を決意。
調べたところ、『ゲーム・オブ・スローンズ』と『ウォーキング・デッド』の2作品はプライム会員特典の対象作品ということで、先ずは前者、『ゲーム・オブ・スローンズ』から視聴を開始しました。
(※『ブレイキング・バッド』も配信自体はあるのですが、Prime会員特典の対象作品ではないため、Amazonプライム会員であっても、別途視聴のための費用が必要であったため、ひとまずは視聴を断念。2019/01/25現在)
『ゲーム・オブ・スローンズ』の評判について、視聴前に調べてみたところ、だいたいこんな感じ。
- 本格的に面白くなるまで、かなり長い。
- 話が長くて視聴に時間がかかるので、途中で見るのを止めた。
- 情報量(登場人物と相関関係、作品の歴史的背景など)が多いので予習必須!
「こりゃ、楽しむには本腰入れなきゃいけないタイプだ・・・! 笑」
(偏見ですが、日本の映像作品は、一度の視聴で話を理解できるように、回想や登場人物に直接設定・背景を語らせるなどの説明的な演出が多い一方で、海外の作品は、没入感やテンポの良さを大切にするためか、説明は最低限かつ婉曲的な印象があります。良し悪しですね!)
そんなわけで、年末年始などの空いた時間を利用して、シーズン6まで一気に視聴。
……結論から言うと、ドハマりしました!
視聴前はなんとな~く「中世ファンタジーと大河ドラマのミックスみたいな感じかな~」などと予想しており、実際当たらずとも遠からずだったのですが、
この作品の魅力は、そんな言葉に留まらなかったわけです。
さて、視聴前を振り返って、作品視聴のための予習について。
自分はWikipediaをさらっと流し読んだのですが、当然その程度で足りるはずもなく、最初の数話は内容が飲み込めず、置いてけぼりになることもしばしば。
せっかくなので、作品の布教やちょっとした英語表現の紹介も兼ねて、
「自分が未視聴のときに知っておきたかった情報をまとめてみよう!」
などと思い至ったわけです。
作品の雰囲気と、あらすじについて
先ずはタイトルの『ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)』について、
作中の字幕では『王位争奪戦』という訳となっています。
その名の通り、玉座を巡る争いと、それに翻弄される人々のお話ですね。
ストーリーをひとことで言い表すなら、
……ちょっと乱暴ですが。笑
ひとつの王朝が続く大陸・ウェスタロスを主な舞台として、その各領土を統治する名家の光と影、『壁』と呼ばれる大陸の北で繰り広げられる野人や怪物との攻防……がっつり中世ファンタジーですね。
ファンタジーというものの、魔法やら異種族やらは序盤ではほとんど登場せず、「失われたもの」「登場人物たちと関わりあいのないもの」として、たまに話のタネに上がる程度です。
いわゆる群像劇で、複数のストーリーラインが並行して進んで行きます。
権謀術数ひしめく王都・キングズランディングでの政争、
海の向こうに追いやられた前王の末裔が敷く覇道、
『壁』と呼ばれる大陸北部での生存競争、
いずれも非常に魅力的です。
と、ここまでくると取っ付きにくく感じるかもしれませんが、話のほとんどはヒューマンドラマで、視聴に際して、特別な知識は必要ありません。
雰囲気はかなりシリアスかつ悲惨で、容赦ないエログロと残酷な描写、それに伴う登場人物たちのドス黒い感情が丁寧に描写されており、かなり生々しいです!
男も女も、裸を見ないエピソードはないってくらい脱ぎまくるし、
特にグロ方面は、まあ~「これでもかっ!」てくらいに登場人物が死にまくるので、
内臓やら生首やら、そっち方面に耐性の無い人は視聴が難しいかもしれません。
話の割合としては、
って感じです。個人的な体感。
ゲーム・オブ・スローンズはココが面白い!
さて、ここまで紹介した内容だけ見ると、
「話は重々しくて、情報量が多くて、本当に面白いの……?」
なんて、思われる方もいらっしゃるでしょう。
断言しますが、上述のストレス(いい意味で)を耐え抜いた分だけ、面白さが返ってきます。
・魅力的なキャラクター
先ずは月並みですが、登場人物の人格の掘り下げがハンパないです。
筆者のイチオシはティリオン・ラニスター。例として、ちょっと語らせてください。
(※著作権的な問題もあり、画像は全然関係のない、フリー素材画像にあったロブ・スタークさんの人形です。でも、この人を取り巻く話もまたアツい!)
英語版Wikipediaさんの紹介では、
「ティリオンは知的で、機転が利き、博識で、また父親譲りの商才と政治的才覚の持ち主である(Tyrion is intelligent, witty, well-read, and shares his father's skill for business and political maneuvering)」
「辛らつで皮肉屋、高貴な生まれの小人(a bitter, cynical, high-born dwarf)」
「清濁を併せ呑むキャラクター(gray characters more than black-and-white characters)」
などなど。原作者のジョージ・R・R・マーティン氏をして、お気に入りのキャラに名を連ねているようです。
作中でも、主観人物として登場することが非常に多いですね。
ラニスター家という、王政への影響力が非常に強い大名家に生まれながらも、一般的な成人男性の半分ほどの体躯しか持たず、「小鬼(Imp)」「悪魔の猿(Demon Monkey)」「半人前(Half-man)」などなど、民衆に嘲笑われています。また、出産に伴って母親の命を奪ったとして、実の家族からも憎まれてしまいます。
こういった背景からか、性格は現実主義者で皮肉屋、やや厭世的なきらいもあり、酒と娼婦が大好きな退廃的なキャラクター……
なのです、が!
その自身の経歴からか、社会的な弱者に対しては紳士的で、徹底した優しさをみせ、またそれを嘲笑ったり、慰み者にするような相手は、たとえ王族が相手だろうと噛み付く気概を見せることも。
さらには、普段から良くも悪くも弁舌家というか、口の回るキャラクターなのですが、その真価を発揮するのは土壇場! 自身の命すら危ぶまれる状況での判断力と度胸、そして演説力は、見るたびに胸をアツくさせてくれます。
肉体的にはどうしても周りに劣ってしまう分、頭の回転では、その辺のモブキャラじゃ足元にも及びません。
厳格かつ有能な父親や、優秀な兄と比べられ続け、常に誰かの後塵を拝する人生だったからこそ、窮地への場慣れや劣勢での立ち振る舞いを自然と身に付けてきたのでしょう。
このように、ひとりひとりのキャラクターにそれぞれ多層的な背景があり、その人物の欠点すらも魅力的に見せてしまうのです。
登場人物の魅力といえば、サーセイというティリオンの姉が、そらもうお手本のような悪女でして、作中の騒動も3割くらいは彼女が原因なんじゃ・・・ってほどなんですが、
視聴を進めていくうちに、けっして傲慢さや残忍さだけのキャラクターではなく、その底には家族への愛情や、ひとりの女性としての矜持などが根底にあるのだと気付くことができます。
この推しキャラを語るのがまあ楽しいワケでして。魅力と欠点がホントに紙一重というか、キャラクターひとりとっても数十分語り続けられるくらい。
・スマートな掛け合い
以下、作中のとある重要人物が、高貴な身分を偽って下女として働いているシーンでのやりとりです。
A:「家族はいないのか。父親は?」
B:「死にました」
A:「老衰か?」
B:「いいえ。命を奪われたのです」
A:「……病にか? それとも、物盗り?」
B:「いいえ、そのどちらでも」
A:「分からんな。では、何が彼の命を奪ったのだ?」
B:「……忠誠心です、サー」
そのまま引用ではなく、多少改変してますが。
続いて、とある兄弟が、王位を狙って対立するシーン。
C:「兄さんが宗教にのめり込むなんてね。退屈な堅物だったのに」
D:「彼に跪きなさい。あなたの兄上は、塩と煙の儀式によって神に選ばれたのよ」
C:「塩と煙の儀式? ハムでも作ったのか?」
……こういうウィットに富んだ皮肉は、やっぱり海外ドラマならではですね。
大河ドラマや長編ファンタジーなど、壮大なストーリーを追っていくと、どうしても中だるみを感じたり、集中力が途切れたりしてしまいがちなのですが、
ちょっとした掛け合いの面白さや、緊迫感を与える演出で、退屈する暇を与えません!
予習不足の筆者が、それでものめり込むことができたのも、ひとえに台詞の応酬が面白かったからこそ!
・演出の本気度がスゴイ!
大規模な合戦だったり、異種族やドラゴンだったり。中世ファンタジーだけあって、CGや映像合成なども多用している……はずなのですが、
これが、「作りもの」を感じさせないほどのクオリティなんです。
毎話ごと、「映画でも作ってるの……?」ってくらいの作りこみで、
特に、中盤頃から登場するドラゴンの質感は必見!
堅そうな鱗、膂力を感じさせる逞しい前肢、宝石のような瞳……
画面の向こうにいても、「あっこれ人類じゃ勝てないわ」と直感しちゃうくらい。笑
それもそのはず、製作費が桁違いなんです!
来たる最終章にいたっては、日本円でなんと各話毎で21億円以上!! という話も。映画かな??? そらスケールでかい作品になるわ……。
……などなど、表面的な魅力について、先ずは語ってみました。
ここから皮切りに、登場人物や歴史的背景など、もう少し細かな知識についても、
後日まとめて、予習用のまとめっぽく作ってみる予定です。
未視聴の人に届け! この面白さ!